2010/02/14

臨機応答・変問自在―森助教授VS理系大学生 / 森博嗣 2回目

臨機応答・変問自在―森助教授VS理系大学生

ミステリー作家として著名な森氏のもうひとつの仕事、大学教授(助教授?)。そのQA形式の講義録。

この本については以前まとめたのですが、また別のまとめ方ができそうなので、もう一度書きたいと思います。

この本は、大学の助教授として働く森氏の講義の記録を一冊の本にまとめ直したものです。内容はすべてQA形式で、学生が質問を出し、森氏がそれに答える、というもの。
評価は、読者が森氏の価値観に共感できるかどうかで大きく分かれると思います。その価値観とは、「大学に入り、何かを学びたいのであれば、良い質問を立てることをこそ学ぶべき」というもの(そのようなニュアンスのことがまえがきに書かれています)。

森氏が良い質問を立てることを学ぶべきとする理由は、まとめると次の2点になるでしょうか。

1.大学生にもなれば、「教育する」ことなんてできない。
大学生を対象に「教師」という立場にある人にできるのはせいぜい、「学びたい」という強い思いを持った生徒に対して「やり方」を教えることだけ(あるいは、勉強するとこんなことができるようになる、という姿を示すことだけ)。だから、生徒自身に「何だろう?」「知りたい」という強い欲求がないといけない。また、最後に「学ぶ」のは学生自身である。You can take a horse to the water, but you cant make it drink。

2.大学生は、高い授業料に見合うリターンを得ようとしよう。
大学生には、一講義あたり○千円(○万円?)という高い授業料を自分の親あるいは自分が支払っていることを自覚していない人が多い。非常にもったいない(でも、「それはその人の勝手だけどね……」と突き放してもいる)。高い授業料に見合う価値を講義から得るには、自分自身が明確な問題意識を持つことが必要である。そのひとつの方法が「良い質問」を立てることである。
また、「情報」は調べればわかる。「自分の価値観」は自分で決める以外にない。だから、「情報」や「自分にしか解決できない問題」を教師に聞いてはならない(もったいない、あるいはムダになるから)。「教師」に利用価値があるとすれば、それは「知識」「知恵」について参考情報が得られるということだ。


この価値観に共感できれば、1)森氏がこのQA形式の講義をする理由も、2)森氏のひとつひとつの回答の意味も、3)質問に答えない答え方をしている意味も、全体からディティールまですべての背景がクリアに見えてくるように思います。

でも逆に、この意図が理解できてない学生の目には、、、森氏は偏屈で無愛想でイヤらしい教師に映るんだろうなぁ。。。私が学生時代にこの講義を受けてたとしても、森氏の意図を汲み取れたかは、、、あやしいところです。

いい教師です。


最後に目次も。
  1. まえがき
  2. いろいろな質問
  3. 建築に関する質問
  4. 人生相談?
  5. 大学についての質問
  6. 科学一般についての質問
  7. コンクリートに関する質問
  8. 森自身に対する質問


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