2010/09/12

映画:スーパーの女 / 伊丹十三監督



1996年の映画「スーパーの女」を観ました。


目的ときっかけ
半分はエンターテイメントとして、もう半分は、実店舗における戦略実行の一連のプロセス(環境分析→戦略立案→実行)が描かれたケース資料として。

きっかけは、坂井穣さんの「あたらしい戦略の教科書」で、戦略の理解を深めたい方におすすめの本として紹介されていたのを読んだことです。「あたらしい戦略の教科書」ではこの「スーパーの女」についてこう紹介されています。
種となる小さな戦略が、どのようにして大きな戦略に育っていくのかという点が非常に良く描けている映画です。実際に、「新鮮な食材」によってファイナンスの好循環を生み出していくという大戦略を前面に押し出していくのは、映画の中盤をすぎたあたりからです。
戦略に反対する人々との戦いは、まるで現実の戦略実務を見ているような錯覚すら感じます。



内容
スーパーが大好きなイチ主婦が、幼馴染みが経営するスーパーに社員として参加し経営を立て直す、というストーリーです。

低価格をウリにする新規参入の競合店に対して対抗プランを練り、トラブルを重ねながらもひとつずつ着実に具体策を実行していく流れになっています。笑いの要素も、スカッとしたりハラハラしたりする場面も盛りだくさんで、公開時興業的に成功したというのも肯ける良い映画でした。

数年前に産地や賞味期限の偽装等の企業活動が大きく話題に挙がったので、こういった「企業の裏側」について特に新鮮味は感じませんが、1996年当時にこのことを取り上げて映画にまでしたというのは、、素朴にすごいことです。


ポイント
戦略を学ぶ」という視点で見て、とにかく学びの多い映画でした。実店舗運営における戦略やマーケティングを学んでいる人が見ると倍楽しめる映画かと思います。

スーパーの女に盛り込まれているポイントをいくつか箇条書きしてみます。
環境分析 外部環境分析、内部環境分析
ビジョニング 良いスーパーと自社が目指すビジョンの定義
顧客志向視点
課題の抽出
戦略の立案 シンプルなプランへの落とし込み
戦略の実行
仲間作り、ステークホルダーの特定と説得、トライアル、
顧客と仕入れ元の巻き込み、走りながらのチャンス発見、
オペレーション改善。


ピックアップ
映画中もっとも良かったくだりを。

映画の初めの方の、主人公の花子と経営者五郎の会話です。五郎が「俺はこの商売が面白くない」と言うのに対して、花子が自分の思いを伝えて励ますシーンです。
五郎
はぁ。正直言って、俺はスーパーには向いてないような気がする。やってて何にも面白くない、この商売。

花子
あらぁ、スーパーはいい商売じゃない。(中略)だって面白いじゃない、スーパーって。

五郎
だからどこが面白いんだよ。

花子
(中略)
(ここで言う彼女=スーパーに買い物に来る主婦です)
彼女はまず何をするか。まず、彼女は台所で切れてるものを補充する。だからスーパーの売り場はまず、野菜から始まってるわけだよ。
(中略)
彼女にとっては買い物はドラマなの
(中略)
お前のところの売り場にはこの、主婦を興奮させるドラマがないのよ。いい売り場は主婦に対して話しかけてくるのよ。「奥さん、今日の晩ごはんこれにしましょうよ!」ってね。

「顧客のドラマ(物語)」と「お店のドラマ(物語)」を想像できたら、商売がいかに楽しく、いかにやりがいのあるものになるか、ということを花子は教えてくれます。このような顧客志向こそが「良い顧客志向」だと思います。良い顧客志向とは、顧客を神様に仕立て従業員を奴隷化するようなものではなく、従業員が心の底から楽しみややりがいを感じ、自発的に「顧客のためにもっと何かやりたい、向上したい」と思えるようになるようなものなのでしょう。


おまけ
スーパーの女関連で参考になる資料
スーパーの女 - Wikipedia
スーパーの女 競争の戦略 - 映画で学ぶ経営学


……今回はおなかいっぱいでこれくらいしか書けませんが、とにかく良かった。マーケティングや実店舗経営に関わっている方でまだ観ていない方にぜひおすすめしたい映画です。また時をおいて改めて観てみたいと思います。

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