2010/09/13

マーケティングリサーチの実践教科書 / 上野啓子


マーケティングリサーチの実践教科書」を読みました。

先日仕事で顧客アンケートをする機会があったのですが、そのときに解釈・提言がうまくできず残念な思いをしました。そこで、マーケティングリサーチ(マーケティング調査)を基礎から勉強しようと思って読みました。

目的
リサーチ力UP。
リサーチの基礎をしっかり身につけること

目次
はじめに~リサーチをめぐる環境の変化
序章  マーケティング・リサーチとは
第1章 リサーチの基本
第2章 リサーチの準備と実査
第3章 リサーチ結果の分析と報告
巻末ケース 歯科クリニックの利用における住民意識リサーチ
おわりに

一言感想

本書を読んだら、マーケティングリサーチの基本的な考え方、全体像をひととおり押さえることができました。良かったと思います。

紹介されているひとつひとつの考え方や手法はすでに知っているものも結構ありましたが、知識を体系化したり全体像を俯瞰したりということができていなかったので、その点で非常に勉強になりました。

本書の良い点のひとつに「平易な言葉でわかりやすく書かれていること」があげられます。さすがモデレータを実務でやられている方が書いたものだという感じがしました。

・・・ちょっと蛇足にはなりますが、この本を読む前に私は、データ分析の数学的テクニックに関する名著「多変量解析のはなし」(大村平さん著)を読んでいました。この「マーケティングリサーチの実践教科書」では数学的テクニックはあまり詳しくは説明されていないので、もしマーケティングリサーチのもうひとつの側面である「データ分析」についても学んでおきたいという方は「多変量解析のはなし」も併せて読まれるとより良いかと思います。

ピックアップ

本書の中で個人的にココ!と思ったところをピックアップします(ちょっと文章・単語を変えているものもあります。。)。

リサーチは何のためにあるのか
・「半信半疑」を「確信」に変える
・「やらない」ことを決める
・「今後のニーズ」をつかむ
・戦略的な意思決定をする

リサーチ結果は発注する各部門にとって役立つ情報である必要があり、それを見て次に何を行えばよいのかが見えるものを提供しなければなりません

マーケティングリサ―チの種類
・実態調査
・コンセプトテスト
・プロダクトテスト
・広告クリエイティブテスト
・認知度・製品評価・顧客満足・ブランドイメージ調査

定量と定性の組み合わせ
リサーチの調査対象が誰かがわかっている場合には、定性調査からスタートします。そうでない場合には定量調査で調査対象を決定する作業が必要です。その後の進め方は、「定性調査で探索し、仮説を立てて」から「定量調査で検証する」というサイクルになります。仮説が棄却された場合には、再度定性調査で探索し、仮説を構築して検証します。このように定性調査と定量調査は補完的に使って循環させます。

リサーチ企画書の概要
1.背景
2.目的
3.項目
4.手法
5.対象者
6.期間
7.見積

調査票作成の基本
・SA(シングルアンサー)なのかMA(マルチプルアンサー)なのかがわかるようにする。
・回答者全員がいずれかの選択肢を選べるようにする。
・質問の意味を明確にする(=捉え方によって意味があいまいになる質問にしない)

曖昧な事柄を定義づけすることを「操作的定義」と言います。「愛用者」という条件であっても、「年間何本以上購入している人を愛用者と定義づける」というように事前に決めておくことが必要

ワーディング
調査票の質問は「明確で」「答えやすく」「中立な表現」を使うように注意

定性調査の意義
・観察し、聴き、発見する
・データしてではなく生活者として理解する
・目の前の人の声・表情・しぐさまでを観察する

定性調査の主な手法
デプスインタビュー(1対1インタビュー)
フォーカスグループインタビュー
エスノグラフィー(観察法)

分析とは
・リサーチの結果として得られた回答(データ)を読み込み、
・それらの示すことを理解し、
・データとデータを統合的に見て、
・ある現象が起こっている背景と要因を解き明かし、
・それらの要因を分類整理するとどんな構造が見えてくるのか
ということを見出し、整理すること

分析において大切なのは、報告書を読むクライアントが「この部分はデータ(事実)」「この部分は分析(リサーチャーの解釈)」と明確に区別できるように記述すること

定量調査分析のステップ
1.単純集計表の読み込み
2.クロス集計表の読み込み
3.追加集計依頼(質問間クロスなど)
4.検定依頼(有意差検定など)
5.グラフ化
6.報告書の流れを決定
7.文章化
8.報告書完成

定性調査分析のステップ
1.再デブリーフィング
2.印象的な発言のマーク
3.一覧表・マップの作成
4.傾向や構造の発見
5.報告書の流れを決定
6.文章化
7.報告書完成

外資系企業のリサーチ報告書の構成
Ⅰ.調査概要(目的・手法・対象者・期間など)
Ⅱ.結果のサマリー
Ⅲ.結果の詳細
Ⅳ.今後の課題と提言
Ⅴ.添付資料(調査票・インタビューガイド・提示物など)

当初の期待値が得られなかった場合、リサーチャーはクライアントに対して改善点をきちんと伝えなくてはなりません。リサーチ結果が望ましくないものであっても、それをあげつらうだけではなく、どうすれば次のステップに行けるのか、具体的な方向性を提言します。

・・・以上です。

おまけ
著者の上野啓子さんの会社HPとブログです。
interVista [インタービスタは、マーケティング・インタビューを軸に商品開発やリニューアルのお手伝いをしている会社です。]
マーケティングDiary


0 件のコメント: