2010/10/30

キャリア・アンカー / エドガー H. シャイン 金井壽宏


キャリア・アンカー」を読みました。

きっかけは、現在受講しているグロービスのクラスの参考図書に本書が取り上げられていたこと、この分野への理解をもっと深めたいと思ったことです。

本書はMIT(マサチューセッツ工科大学)スローン経営大学院の教授であるエドガー・シャインが書いた本を、組織行動学・キャリア論で有名な金井先生が日本語に翻訳したものです。

読んだ動機
2つあります。

1 自分のため
自分のキャリア設計、キャリア実践をより良く行うために、自分の軸を知りたい。

2 周りの人たちとの協働のため
周りの人たちがどういうキャリア観、キャリアに対するニーズを持っているのかを把握した上で、より良い形で影響を与え合える人間になりたい。そのために、まずはキャリア観の分類フレームワークを知りたい。

目次
はしがき
第1章 序
第2章 キャリア指向質問票
第3章 キャリア発達
第4章 キャリア・アンカーという概念の展開
第5章 キャリア・アンカー・インタビュー
第6章 実践に活かすために
参考文献
あとがき
「はじめに」と第1章がイントロ。第2章に質問票があり、自分のキャリア指向をチェックすることができます。続く第3章でキャリア・アンカーの根底にある「キャリアの全体像」についての考え方が説明され、第4章で本章の核であるキャリア・アンカーについての詳しい説明が展開されます。第6章はまとめです。

本書の背景

エドガー・シャインは、個人の「内部からの要請」と「外部からの要請」の両方をなるべく正しく認識することがキャリアを築く上で大切であるとした上で、前者を「キャリア・アンカー」、後者を「キャリア・サバイバル」と名付けました。

■キャリア・アンカー
仕事の内容や場、働き方に影響を与える、個人の価値観やニーズ。内的要請。

■キャリア・サバイバル
仕事の内容と場、働き方に影響を与える、組織や環境のニーズ。外的要請。

※「キャリア・アンカー」と「キャリア・サバイバル」、それそれが一冊の本になっています。

本書のエッセンス

本書では、「キャリア・アンカー」の定義と意義について解説した後、膨大な調査の結果から得られた「8つのキャリア・アンカーのパターン」を紹介しています。また、読者が自分が8つのパターンのどれに当てはまるのかを特定するための具体的なツール(質問票)も掲載されています。

キャリア・アンカーの定義
仕事選びにおいて重要となる個人の価値観やニーズ。
あなたのキャリア・アンカーとは、あなたがどうしても犠牲にしたくない、またあなたのほんとうの自己を象徴する、コンピタンスや動機、価値観について、自分が認識していることが複合的に組み合わさったものです。

キャリア・アンカーを知る意義
個人にとっての意義…
より納得し、充実した仕事とライフスタイルを得ることができる。
自分のアンカーを知っていないと、外部から与えられる刺激誘因(訳注:報酬や肩書きなど)の誘惑を受けてしまって、後になってから不満を感じるような就職や転職をしてしまうこともあります。「これだとほんとうの自分らしくない」と転職をしてしまうこともあるのです。このような状況を避けるために、この冊子のなかの質問票とインタビューが役に立つはずです。
あなたが現在どのような仕事、どのようなキャリアについていたとしても、仕事に対する指向、動機、価値観、そして才能についての自覚をより明瞭に理解しておけば、キャリアにまつわる将来の意思決定は、もっと容易になり、より納得のいくものとなるでしょう。

組織にとっての意義…
成員一人ひとりとの適切な接し方がわかる。

8つのキャリア・アンカーパターン
次の8つ。
1.専門・職能別コンピタンス
2.全般管理コンピタンス
3.自律・独立
4.保障・安定
5.起業家的創造性
6.奉仕・社会貢献
7.純粋な挑戦
8.生活様式
※各内容を詳しく知りたい方は、ぜひ本書を読んでください。

ちなみに英語ではそれぞれ次のとおりです。
1. Technical/Functional Competence
2. General Managerial Competence
3. Autonomy/Independence
4. Security/Stability
5. Entrepreneurial Creativity
6. Service/Dedication to a Cause
7. Pure Challenge
8. Lifestyle

私の場合は、一番上で述べた目的2を達成する第一歩として、この8つのパターン(キャリア観フレームワーク)を丸覚えしたいと思います。……覚え方としては、
「隙間じゃ、包丁、きらい(すき・ま・じ・あ・ほう・ちょう・き・らい)」。
すき … スキル(1)
ま  … マネジメント(2)
じ  … 自由(3)
あ  … 安定(4)
ほう … 奉仕(6)
ちょう… 挑戦(7)
き  … 起業家的創造性(5)
らい … ライフスタイル(8)
「隙間じゃ、包丁、きらい」という言葉に特に意味はなくって、あくまでも覚えるための略語(アクロニム)。「鳴くよウグイス平安京」的なものです。丸暗記だけしてもしょうがありませんが、まず覚えないことには始まらないので。。

私の場合のキャリア・アンカー

ちなみに、私のキャリア・アンカーを点数の高いものから順に並べると次のようになりました。
1.奉仕・社会貢献
2.純粋な挑戦
3.生活様式
4.専門・職能別コンピタンス
これらとは逆に、「マネジメント」や「安定」、「起業家的創造性」の点数はあまり高くなかったので、これらに対する欲求は低いないようです。

個人的に意外だったのは、「マネジメント」や「起業家的創造性」に対する欲求が高くないという結果です。「安定」については求めていない自覚があったので納得だったのですが、ここは意外でした。
でも、この結果が出てから数日考えてみたら、、ものすごく納得できました。自分のキャリア上、「マネジメント」や「起業」が方法として将来的に必ず要ると思っているので興味はあるものの、それが「最終的にやりたいことか?」と問われると、答えはNOです。それらは私にとってはあくまでも「方法」だということに改めて気づくことができました。

感想

自分のことは自分が一番わかってるつもりが、これまでは言葉で説明しろと言われるとなかなかうまく説明することができませんでした。

本書を読んだことで、今後は「私はタイプとしてはこのあたりにいるらしい」という程度には説明することができるようになりました。

自分を枠にはめるためではなく、解放し、最大限に伸ばすために、こういう類の本を読むのは良いと思いました。

また、根拠のない血液型性格判断とは違って、調査と熟考を通して行う人間をパターン分類(フレームワーク)は、強い組織を作るためにも、良いコミュニケーションをするためにも有効だと思います。

こんな方におすすめ
・自分のキャリアの軸を固めたい
・周りの人たちをより深く理解しその潜在力を引き出したい

おまけ
Wikipediaにもキャリア・アンカーのページがありました。
キャリア・アンカー - Wikipedia



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