2011/01/01

ウェブ進化論 / 梅田望夫



「ウェブ進化論」を読みました。先月から、自分なりの「世界観」「歴史観」を構築することを目指しており、その一環として。。

ウェブ進化論の出版が2006年の2月ですから、あれから5年。早いものです。

当時ウェブ進化論の中に書かれてある最先端の世界(認識)をかいま見て、非常にワクワクしたのを覚えています。しかし今思えば、私のようなアーリーマジョリティに身をおいている(と自分では思っている…)人間には、ちょっと最先端過ぎだったような気もします。。内容的には、当時のイノベーター、アーリーアダプターあたりの人がメインターゲットの本だったようで、私の場合は頭では理解できても、それを今日の生活から活かす、キャリアプランに活かす、ということはなかなかできませんでした。。

その後の5年間で、私自身の生活や社会の流れを見るかぎり私たちが予感したほどの大きなうねりは訪れていないようですが、ワクワクするような変化はじわじわと着実に起こっています。その後の5年で次のようなものが生まれました(流行りました)。

コミュニケーションプラットフォーム
Facebook
twitter

クラウドストレージサービス
Evernote
Dropbox

画像共有サービス
Flickr
Picasa

画像編集サービス
Picnik
Aviary

位置情報サービス
foursquare

スマートフォン
iPhone + App store
Android端末

タブレットPC
iPad
Galaxy Tab

小型PC
MacBook Air
・各社ネットブック

Wifi端末
Amazon Kindle(電子書籍端末)
ポケットワイファイ(Pocket Wifi)
Eye-Fi

その他
Ustream
UAuth認証
Google chrome + webstore
・グルーポン系サービス(フラッシュマーケ)
・セカイカメラ系サービス(AR)
HTML5 + CSS3

こう見ると、思ったよりも流れが速いところもあれば、遅いところもあります。地域差を考慮せずにグローバルに展開できるコンテンツやサービスは、ものすごい早いスピードで進化しているのがわかります。

…話を元に戻して。内容です。


目的
歴史観をもつ。今後の10年をある程度見通せる力を付ける。


目次
序章 ウェブ社会
第1章 「革命」であることの真の意味
第2章 グーグル
第3章 ロングテールとWeb2.0
第4章 ブログと総表現社会
第5章 オープンソース現象とマス・コラボレーション
第6章 ウェブ進化は世代交代によって
終章 脱エスタブリッシュメントへの旅立ち
あとがき



ピックアップ
本書のうち、ココ!と思った部分をピックアップします。今も今後も十分に参考になる部分だと思います。いずれもちょっと長めですが、いきます。

サンタフェ研究所のブライアン・アーサー(複雑系経済学のパイオニア)(中略)は、2003年11月に(中略)情報革命を5つの大革命のうちのひとつだと彼の歴史観の中に位置づけた。
第一は、英国で起きた産業革命。1780年から1830年。(中略)
第二は、同じく英国で起こった鉄道革命。1830年から1880年。(中略)
第三は、ドイツに移り、電動機と鉄鋼のような重工業分野で起こった革命。
第四は、米国が先駆者となった製造業(マニュファクチャリング)革命。1913年から1970年代まで。(中略)
そして第五が、1960年代に米国で緒についた情報革命。(中略)
こうした革命的変化に共通するパターンとして、最初の段階ではかなりのスケールでのタービュランス(乱気流、大荒れ、混乱、社会不安)が発生するとアーサーは語った。そしてタービュランスに続いて、メディアが書きたてるメディア・アテンションのフェーズに移行し、そして過剰投資が起き、バブル崩壊へと突き進む。(中略)人々は、その技術はおもう終わったと考える。(中略)でも面白いことに、それから10年・20年・30年という長い時間をかけて、「大規模な構築ステージ」に入っていく。

「IT革命」を人類史から俯瞰する視点。過去の革命(パラダイムシフトの時期)に学び、革命がどのような流れで進んでいくのか、途中どのようなフェーズが現れるのかを知っておくことは非常に大切です。現在はIT革命、コミュニケーション革命における「大規模な構築ステージ」に入っているのでしょう。

アーサーの結論をまとめてみればこうなる。
(1) 21世紀の最初の20-30年間に経済に深い変質が起こる。
(2) それはすべてのものがつながってお互いに知的に交信しはじめて、プリミティブだが、経済の神経系ができあがるからである。
(3) 我々が想像したこともなかったような完全に新しい産業が勃興する。
(4) 21世紀の最初の20-30年間は、何とか米国もリードできるだろうが、技術は世界に拡散していく。
(5) 英国で興った他国でコピーされた最初の2つの革命(産業革命と鉄道革命)は、経済の筋肉系を提供した。
(6) 情報革命は、筋肉もエネルギーも供給しない。供給するのは神経系である。
(7) 長期的に見れば、これは産業革命よりももっと深く、もっと重要な転換である。

前出の複雑系経済学者アーサーの意見のまとめ。人間の身体になぞらえた「筋肉」「エネルギー」「神経」という表現は非常にわかりやすいです。人体において「神経系」を鍛えるとできるようになること、というのを考えていくと、IT革命の先が見通せるような気がします。

では、Web2.0の本質とは何なのか。(中略)今も相変わらず議論が続いている。「ネット上の不特定多数の人々(や企業)を、受動的なサービス享受者ではなく能動的な表現者と認めて積極的に巻き込んでいくための技術やサービス開発姿勢」がその本質だと私は考えている。


eベイの創業者ピエール・オミディヤーは「Web2.0とは何か」と訪ねられ、
「道具を人々の手に行き渡らせるんだ。皆が一緒に働いたり、共有したり、共同したりできる道具を。「人々は善だ」という信念から始めるんだ。そしてそれらが結びついたものも必然的に善に違いない。そう、それで世界が変わるはずだ。Web2.0とはそういうことなんだ」
と答えている。


この仕組み(APIのこと)をごく普通のユーザが利用できるだけなのか、それとも開発者がその仕組みの上に新しいサービスを開発できるか。前者でとどまっている限りは、Web1.0。後者まで進んではじめて、Web2.0である。その違いが、Web2.0における重要ポイントだ。

当時流行った「Web2.0」という言葉。当時はわかったつもりになってましたが、今振り返ると、あまりよくわかりません。。コミュニケーションコスト/発信コストが大幅に下がることによって「個人が発信できるようになっる」「ラフなコミュニケーションが増える」ということは実感しますが、それらが「結びついたもの」を感じることはあまりありません。このあたりにどう踏み込めるかが次の課題でしょうか。

総表現社会 = チープ革命 × 検索エンジン × 自動秩序形成システム
という方程式で、ブログと総表現社会の今後を考えてみたいと思う。

「自動秩序形成システム」。これも、検索やリコメンドと同様に、シンプルなアルゴリズムと高い演算能力と保存容量でできるようになるのでしょうか。

さまざまな分野で「学習の高速道路」が敷かれつつあるゆえ、全体のレベルが上がっていることは間違いない。しかし、多くの人が次から次へとあるレベルに到達する一方、「世の中のニーズのレベルがそれに比例して上がらないとすれば、せっかく高速道路の終点まで走って得た能力が、どんどんコモディティ(日用品)化してしまう可能性もある。一気に高速道路の終点にたどりついたあとにどういう生き方をすべきなのか。特に若い世代は、そのことについて意識的でなければならない。

なるほど。消化しきれませんが、ここで言わんとされていることの意味はわかります。

日本という国は、「いったん属した組織を一度も辞めたことのない人たち」ばかりの発想で支配されている国であるという発見をした。
(中略)
グローバルに活躍する日本人たちの経験に共通する「転職によるいい意味での人生の急展開」「新しい場での新しい出会いがもたらす全く新しいオポチュニティの到来」「組織に依存しない個人を単位としたネットワークがフル稼働することの強靱さ」「いつ失職するかわからない緊張感の中で、常に個としてのスキルを磨き自分を客観的に凝視し続ける姿勢がいかに個を強くするか」といった新しいキャリア・パラダイムについて、日本のエスタブリッシュメント層の人々は、頭では理解できても、経験に裏打ちされた想像力が全く働かないのだ。
グローバルに活躍する日本人(中略)は決して「特別な人たち」ではなく、これからの日本人一人一人が経験するはずの世界を先に経験した「普通の人たち」なのだと痛感した。
これから日本は、大組織中心の高度成長型モデルではない新しい社会構造に変化していき、私たち一人一人は、過去とは全く違う「個と組織との関係」を模索しなければならないだろう。

日本人の特質とはまた別の問題として、新しい「個人の働き方」と「組織の形」ができるというところには納得です。伝統的なものづくりをしている分野はまた別かとは思いますが、望むと望まざるとに関わらず、今後の十数年のうちに働き方と組織の形がガラッと変わるように思います。


…以上です。


感想
内容を頭で理解することはできるのですが、強い実感をもってこの「うねり」感を感じてその中に身をおくというのは非常に難しいように思いました。今後は、ウェブ時代の資本主義で、「多くの人が望むもの」が現実化される方向に進むかと思うので、
・望みを持ち、それを表出する
・流れを読み、適切な場所に身をおく
ということは継続してやっていきたいと思います。

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