2011/02/16

第3の教育 / 炭谷俊樹

第3の教育」を読みました。

著者の炭谷俊樹さんは、神戸の六甲山で「ラーンネット・グローバルスクール」という小・中学校を運営されています。理系学部の出身でマッキンゼーコンサルティングに10年ほどお勤めの後、新しい教育の実現を目指してラーンネットを立ち上げられました。


きっかけ
「将来、教育や学習支援に関わりたいと思ってます」ということをいろんなところで言っていたら、「近くにこんな人がいるよ」と知人からラーンネットと炭谷さんの存在を教えていただきました。


一言紹介
「第3の教育」では炭谷さんの生い立ちからラーンネットの立ち上げに至るまでのストーリーと、そこで培われた教育観が語られています。教育観の根底には、炭谷さんが2年間を過ごしたデンマークの人々とその教育スタイルがあるようです。


目的
21世紀の教育のあるべき姿を考える際のヒントをもらう
・学校立ち上げのヒントをもらう
読んだ目的は以上2点です。教育観(≒人間観)と立ち上げまでの経緯の両方に興味があり読みました。


目次
A章 私の人生を変えたデンマークの生活
B章 自分で学校を創る決意
C章 ラーンネット誕生
D章 「第3の教育」の実現
E章 見せかけの学力・学歴は要らない
F章 親が変われば、子どもも変わる
G章 私の受けた教育と生い立ち
H章 マッキンゼーで体得したもの
I章 21世紀を生き抜く子ども像
あとがき

A~Iの9章からなります。ABC、Gは主に背景・経緯について、DEF、HIは炭谷さんの教育観について書かれています。


感想
本書を読んで感じたことの中から、3点ほど挙げてみます。

■教育の姿も変わるべき時期に来ている
MUSTという視点から――日本の経済成長が長らく停滞し、少子高齢化が進み、ものやサービスの供給力が需要を上回って、生き方や暮らしの考え方を根本から変えていく必要があります。
CANという視点から――ITの発展や規制緩和によって、子ども自身の意欲を尊重して個別化するような新しい教育が実現できるようになってきています。

■とはいえ第3の教育を実現するは大変そう
新しい教育を行うには、多くの課題がありそうです。
・新しい教育の妥当性が未検証
・求められる水準が高過ぎることによる人材不足
・コンテンツ作成に求められる高い技術力
・親世代の教育観
・お金
さまざまな課題がありますので、すべての人々がこういう形の教育を受けられるようになるには、50年かそこら以上の年月は必要かなと思います。規模はまだまだ小さいとはいえ、ラーンネットがこれらの問題をクリアして運営を継続しているのは、本当にすごいことです。

■既存の教育を全否定することはない
こういった「新しい教育」のあり方が提示されると、既存の教育のあり方が全否定されがちですが、全否定はすべきではないのかなと思いました。今もっとも普及している、標準化された点数主義、職業教師の教育スタイルを、歴史的に見ると、「望んでも教育を受けられない」人々が多くいた時代に「望めば教育を受けられる」という「その時代の理想」を実現したものでした。教育のあり方もあるべき人間像も時代の流れに合わせて、前の時代のものをたたき台として、カイゼンしていくべきものなのでしょう。

この本を読むことで、大変そうだけど面白そうな新しい教育をつくる、ということへの興味がますます強くなりました。


こんな方におすすめ
・日本でモンテッソーリ教育を下敷きとした教育を実践している事例が知りたい
・いきいきしている人を増やしたい
・やさしくてたくましい人間を育てたい
・子どもの自主性と興味を尊重し、良いところを伸ばしてあげたい


おまけ
炭谷さんが運営するラーンネットのページはこちら。見学会なども定期的にされているようです。
ラーンネット・グローバルスクール | 神戸・六甲山の森で独自メソッドによるオリジナル教育を展開

紹介記事もありました。
ラーンネット・グローバルスクール代表 炭谷俊樹さん上
ラーンネット・グローバルスクール代表 炭谷俊樹さん中
ラーンネット・グローバルスクール代表 炭谷俊樹さん下

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