2011/02/17

グランズウェル / シャーリーン・リー ジョシュ・バーノフ 伊藤奈美子


グランズウェル」を読みました。この本が出版されたときに一度読んでいるので、今回は2回目です。

ブログタイトルに掲げている「マーケティング」関連の本を久しぶりに読みました。。


こんな本
さまざまなソーシャルメディア(もしくはCGM)をビジネスで活用する方法について説明してある本。

具体論よりも大づかみの概論、普遍的な基本原則に重きが置かれており非常によくまとまっている(構成がきれいなツリー構造になっており、すんなり頭に入ります)ので、この分野では定番扱いになっているようです。

ちなみに、タイトルの「グランズウェル(groundswell)」は英語で「大きな波のうねり」「高まり」を意味する言葉。近年のソーシャルメディアの盛り上がりを表現しているそうです。


目次
大きく3つのパートに分かれていて、おおよそ、第1部が「グランズウェルとは何かの説明」、第2部が「グランズウェル活用法」、第3部が「グランズウェルの企業での活用実践法」といった内容になっています。
第1部 グランズウェルを理解する
第1章 なぜ今、グランズウェルに注目すべきなのか」
第2章 柔術とグランズウェルのテクノロジー
第3章 ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィール

第2部 グランズウェルを活用する
第4章 グランズウェル戦略を立てる
第5章 グランズウェルに耳を傾ける
第6章 グランズウェルと話をする
第7章 グランズウェルを活気づける
第8章 グランズウェルの助け合いを支援する
第9章 グランズウェルを統合する

第3部 グランズウェルで変革を起こす
第10章 グランズウェルが企業を変える
第11章 グランズウェルを社内で活用する
第12章 グランズウェルの未来



一言感想
ソーシャルメディアマーケティングの背景と方法論がきれいにまとまっており、とてもよかったです。さまざまな技術やサービスが存在しているために全容が把握しづらい「ソーシャルメディア」というものについて、これほどきれいにまとまっているのはすごいと思いました。

「ソーシャルメディアと長期的にうまく付き合っていきたい」という方にどれか一冊本をおすすめするとしたら、私ならこの本をおすすめします。

また、ソーシャルメディア関連の書籍・サイトを読みあさって知識を深めたいときにも、最初にグランズウェルを一度読んでおくと全体像・見通しがつかめてよいかと思います。

日本ではあまり馴染みのない英語圏のソーシャルメディアの事例が豊富だったのも良いポイントでした。


ピックアップ
中でも学びになったポイントをピックアップします。

グランズウェルとは社会動向であり、人々がテクノロジーを使って、自分が必要としているものを企業などの伝統的組織ではなく、お互いから調達するようになっていることを指す。

まずはここで語られている「グランズウェル」の説明から。この認識が本書の出発点です。

創造のためのテクノロジー:ブログ、ユーザー生成コンテンツ、ポッドキャスト
つながるためのテクノロジー:ソーシャルネットワークと仮想世界
コラボレーションのためのテクノロジー:ウィキとオープンソース
リアクション(反応)のためのテクノロジー:フォーラム、格付け、レビュー
コンテンツを整理するためのテクノロジー:タグ
コンテンツの消費を加速するテクノロジー:RSSとウィジェット

「主な用途」という切り口からソーシャルメディアが分類されています。最後の「ウィジェット」は今で言うならiPhoneアプリ、Androidアプリ、Chromeアプリなどでしょうか。

ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールは、消費者を次の6グループに分類する。
創造者
批評者
収集者
加入者
観察者
不参加者

名著「キャズム」で提示されていた「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」などの区分は「消費者」を分類したものでしたが、こちらは「ソーシャルメディア利用者」を分類したものです。キャズムの時代には消費者はあくまでも受け身の存在でしたが、ソーシャルメディアの時代の消費者は企業と対等な創造者であったり、コンテンツを集めて他の人に提示する収集者であったりします。

究極の質問:なぜ人間はグランズウェルに参加するのか?
友人づきあい、友人づくり、友人からの圧力、先行投資、利他心、好奇心、創造的衝動、他者からの承認、同好者との交流。

ソーシャルメディアはあくまでもメディアで、そこで展開されるのは「BEFOREソーシャルメディア」の時代と変わらない「人と人のコミュニケーション」です。だから、「なぜ人間はグランズウェルに参加するのか?」という質問の答えは「なぜ人は人とコミュニケーションを取りたがるのか?」という質問とほぼ同じ答えになるようです。

グランズウェル戦略を立てる際は(中略)4段階のプロセスに従う必要がある。各段階の頭文字を取って、我々はこれを「POST」と名付けた。(中略)
P - People 人間
O - Objectives 目的
S - Strategy 戦略
T - Technology テクノロジー

(おそらく)その筋では有名な「POST」フレームワーク。これはグランズウェルにかぎらず、今後「既存技術の新しい組み合わせによる価値創造」が増えるであろう時代に普遍的に使えるフレームワークだと思います。これは要丸覚え、と。

グランズウェル戦略の5つの目的
1 耳を傾ける(傾聴戦略)
2 話をする(会話戦略)
3 活気づける(活性化戦略)
4 支援する(支援戦略)
5 統合する(統合戦略)

従来のマーケティングでは、消費者の購買プロセスを「AIDMA」「AISAS」といったフレームワークで分解して考えることが多かったかと思うのですが、ソーシャルメディアにおけるマーケティングでは、ことはもう少し複雑になるようです。

企業においてソーシャルメディアのマーケティング施策を提案する場合には、意思決定者がこれらの目的と「売上やコスト」との関係性を頭の中に描けているかどうかが最初のポイントになるかと思います。

小さく始める
グランズウェル戦略がもたらす影響を考え抜く
高い地位にいる人物を責任者に据える
テクノロジーの選択とパートナーの選択は慎重に

ソーシャルメディアを活用するときのKSF。

我々はグランズウェル的思考の実践者たちから7つの教訓を学んだ。(中略)
1 グランズウェルでは、すべてが「人対人」であることを忘れない
2 良い聞き手になる
3 辛抱強くあれ
4 好機を待つ
5 柔軟であれ
6 協力する
7 謙虚であれ

ソーシャルメディアを活用するときの基本の心構え。


こんな方におすすめ
・ソーシャルメディアの全容、見通しをつかみたい
・ソーシャルメディアをビジネスで活用したい
・ソーシャルメディア時代のコミュニケーション力を身に付けたい


おまけ
私がいつも読んでいるこちらのブログの方もグランズウェルを過去にレビューされています。
グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 - 情報考学 Passion For The Future
グランズウェル - smashmedia

グランズウェルの公式ページ(英語)はこちら。
Groundswell - Empowered


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