2011/03/23

ゼロからはじめる社会企業 / 炭谷俊樹



ゼロからはじめる社会企業」を読みました。

「第3の教育」の炭谷さんが書いた、社会起業(Social Entrepreneurship)のマインドと方法論がテーマの本です。

オビには「魂のこもったプランのつくりかた」とあります。読んで確かに、炭谷さんの技術と思いがこもった本という感じがしました。

一般に、ビジネス書は
・一流の内容が書かれているが、やたらに難しいもの
・内容はわかりやすいが、根拠・理論的な裏付けやまとまり感が弱く心許ないもの
のいずれかに分類されることが多いかと思います。

個人的には、前者は研究者やMBAホルダーが書いたものに多く、後者は我流のコンサルタントが書くものに多いという印象があります。

そんな中、この炭谷さんの本は「内容が一流で、かつ、わかりやすい」という稀なケースの本だと思いました。考えがしっかりしていて、かつ、素人にもわかりやすい。余談ですが、こういった本は守破離のプロセスを辿った人だからこそ書けるのだと思います。




目的
事業の計画と運営について、現状持てていない視点を獲得する。


目次
第1章 テーマを決め仮説を描く
第2章 「人が喜んでくれるか?」を検証する
第3章 「独自性を築けるか?」を検証する
第4章 「収支はとれるか?」を検証する
第5章 起業する
第6章 活動範囲を広げる

起業前の段階において「考えるべきこと」が1章から4章に、起業後の「行動と展開」に関することが5章、6章に収められています。


ピックアップ

■社会起業とは
社会起業とビジネスの起業を明確に線引きする必要はなく、バランスだと思いますが、あえて「社会起業」とは何かと問われれば、「社会価値」を「経済価値」よりもより優先する活動を起こすことだと言えるでしょう。

社会起業のわかりやすい説明。「お金という血液が必要」「長続きさせるためにはお金がうまく循環する仕組みを考えることが不可欠」という点では、社会起業も通常のビジネスと同じです。

■個人の心構え
我々一人ひとりの生活にも「社会価値」と「経済価値」のバランスをとることが必要でしょう。

この本は社会起業に関する本ですが、ここで言われている「一人ひとりの社会的役割」というところに関する認識も、今後10年くらいでガラリと変わっていくのだと思います。


学びポイント

■社会起業の事業ドメイン選定の評価軸
2つの視点から評価すると良い。
1. 社会問題の重要性(市場の視点)
  社会価値
  成長性
2. 自分(達)の適応度(自社の視点)
  経験・資源
  自分の価値観・目標

■社会起業の全体像把握のフレームワーク
1と2のビジョン(WHAT)が一番大切。それを踏まえた上で3(HOW)を適切に行う必要がある、と。
1. 問題意識
2. 提供価値
3. 実現に必要なもの
  人材
  技術・ノウハウ
  資金源

■社会起業において意識すべき関係者
通常のビジネスで考慮するのは主に1・2だけですが、支援してもらうことを望むなら3の視点が必要、と。
1. サービスの「受け手」 …ビジネスで言う「顧客」
2. サービスの「提供者」 …ビジネスで言う「スタッフ」
3. 「支援者」 …通常のビジネスではあまり考慮しない人

■社会起業におけるリーダーシップの2タイプ
1. カリスマリーダー型
2. ネットワーク型
1のぐいぐい引っ張る「ついて来い」型のリーダーシップだけでなく、2のネットワーク型のリーダーシップも持っていると、長い目で見るとうまく行きそうです。

■新しいボランティアの形「プロボノ
専門的な知識と経験を持っている人が、非営利活動に対して自分の持つノウハウを無償で提供するという、プロフェッショナルなボランティア。

■組織のフレームワーク:7S
・Shared Value 価値観
・Strategy 戦略
・System システム
・Structure 組織構造
・Staff 人材
・Skills スキル
・Style スタイル
コンサルティング会社のマッキンゼーが開発したことより、一般に「マッキンゼーの7S」と呼ばれることが多いようです。

■社会起業のメリット/デメリット(通常のビジネスと比べた場合)
・顧客以外からの収入や特別価格でのやりとりがあるため、「自由度が大きい」
・自由度が大きい分考えることが多く、より難しい

■人に直接会うこと、直接話すことの大切さ

■分析の大切さ


一言感想
この本を読むまでは起業というものについて複雑に考えていましたが、この本を読んだことで、シンプルな見通しが持てるようになりました。この本を読んだだけで、実際の起業、運営プロセスが簡単になるわけではないと思いますが、把握すべき全体像をシンプルに見通せたという意味で、この本を読んで良かったです。


こんな方におすすめ
・将来起業を考えている人
・社会起業家に協力したいと思っている人

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