2011/03/30

デザイン思考の道具箱 / 奥出直人


デザイン思考の道具箱」を読みました。

慶應大学の奥出先生が書いた「デザイン思考(Design Thinking)」がテーマの本。「21世紀のものづくり」(イノベーションづくり)のスタンダードになるかもしれない「デザイン思考」について日本語で体系的に学べる、数少ない情報源です。

ポップで画期的なものを継続的に作り出しているというIDEOへの憧れがあり、その手法「デザイン思考」に長らく興味を持っていたのですが、どの情報を読んでも「デザイン思考」というのが何なのかよくわからなかったため、、本書を手に取りました。


目次
まえがき
第Ⅰ部 デザイン思考で経営する時代
第1章 知識から創造性へ――経営戦略が変わる
第2章 デザイン思考の試み――IDEO、Dスクール、そしてiPod
第Ⅱ部 デザイン思考の道具箱
第3章 創造のプロセス――デザイン思考の道具箱
第4章 経験の拡大――創造のプラクティス1
第5章 プロトタイプ思考――創造のプラクティス2
第6章 コラボレーション――創造のプラクティス3
第7章 イノベーションを評価する――創造のプロセスの下流
あとがき


本書の前提
本書を読む前に、持っておいた方が良い予備知識をいくつか挙げてみます。

■デザイン思考とは
デザイン思考アメリカのデザインファームIDEOが考案した商品開発手法。
IDEOのCEOティム・ブラウンがデザイン思考について次のように説明しています。
“Design thinking is a human-centered approach to innovation that draws from the designer's toolkit to integrate the needs of people, the possibilities of technology, and the requirements for business success.” —Tim Brown, president and CEO
(意訳)
デザイン思考とは、イノベーションを起こすための人間中心主義的なアプローチである。それはデザイナーのツールキットを用いて、1)人々のニーズ2)科学技術の可能性3)ビジネス上の成功、の3つを統合するものである。
―CEO ティム・ブラウン
この説明と必ず一緒にあるのが、互いに重なり合う3つの円の図です。3つの円は上記1~3に対応しており、それぞれ1)Desirability(Human)2)Feasibility(Technology)3)Viability(Organization)と書かれています。図はIDEOのAboutページにあります。

■デザイン思考のプロセス
こちらもIDEOのページから。
The design thinking process is best thought of as a system of overlapping spaces rather than a sequence of orderly steps. There are three spaces to keep in mind: inspiration, ideation, and implementation. Inspiration is the problem or opportunity that motivates the search for solutions. Ideation is the process of generating, developing, and testing ideas. Implementation as the path that leads from the project stage into people’s lives.
(意訳)
デザイン思考プロセスでは、ひとつながりの段階的ステップというよりもむしろ、オーバーラップする空間のシステムというような考え方をします。頭にとどめておくべき3つの空間があります。「inspiration」、「ideation」、「implementation」の3つです。inspirationは解決したいと思わせる問題や機会です。ideationはアイデアを生み出し、育て、テストするプロセスです。implementationはプロジェクトを生活の場へと持っていく道筋です。
inspiration」「ideation」「implementation」、3つの「i」をスパイラル的に高めていくプロセス、とのことです。

■製品・機能・経験の3層構造
「経験価値マーケティング」で提唱されるような、物理的な製品とその機能。機能と生きた人間が得る経験。それらをきちんと区別して顧客に届ける価値を設計しよう、というような考え方。


キーポイント
キーポイントをピックアップしてみます。まだよく咀嚼できていないので、そのままの抜粋になるものがほとんどです。。。

■デザイン思考を意識した創造プロセス
1 哲学とビジョンを構築する
2 技術の棚卸しとフィールドワーク
3 コンセプト/モデルの構築
4 デザイン――デモンストレーション用プロトタイプをデザインする
5 実証
6 ビジネスモデル構築
7 ビジネスオペレーション

■創造のプロセスを実行するのに必要な3つの力
A 経験の拡大 (ステップ2で必要)
B プロトタイプ思考 (ステップ3と4で必要)
C コラボレーション (すべてのステップで必要)

■タンジブルとインタンジブル
モノとサービスの別の呼び方。この視点で見ることにより、サービスにもタンジブルな側面が必要だし、モノを売る場合にもインタジブルな側面をきちんと考慮する必要がある、ということがわかります。

■ビジネスウィークが考えるこれからの企業戦略の変遷
第1段階 技術と情報がコモディティ化とグローバル化を引き起こす(80年代)
第2段階 コモディティ化に伴う空洞化、アウトソーシング(90年代)
第3段階 「デザイン戦略」が「シックスシグマ」を代替し始める(いま)
第4段階 創造的イノベーションが成長を推進する
第5段階 新しい「イノベーションDNA」をもつ創造的企業が勃興する

■マクロイノベーションとマイクロイノベーション
・技術革新が先にあるイノベーション
・顧客ニーズ認識が先にあるイノベーション
マイクロイノベーションを4つ5つ6つ合わせて、大きな市場価値をもつ商品をつくりだしていくのがデザイン戦略である、と。この「マイクロイノベーション」の考え方は、ゲームボーイを開発した故・横井軍平さんの哲学「枯れた技術の水平思考」とも似ています。


一言感想
難しかった、です。。全体像と概念はわかったのですが、「明日からやってみよう!」と思ってもとてもじゃないけど自分にはできなさそうです。。なんだか、プロ野球選手のカラダの鍛え方に関する解説をぼんやり眺めているような気分になってしまいました。

この本をきちんと理解し実践することができれば大きな競争力の源泉が得られるかとは思うのですが、、今はまだ読み解く力が足りないようです。いずれ再挑戦の意味を込めて再読したいと思います。


こんな方におすすめ
・デザイン思考(Design Thinking)に興味がある

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