2011/04/08

最新脳科学で読み解く脳のしくみ / サンドラ・アーモット サム・ワン 三橋智子


最新脳科学で読み解く脳のしくみ」を読みました。原題は「Welcome to Your Brain」。

2人の著者のうち、ひとりは科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」の元編集長、もうひとりはブリンストン大学の神経科学准教授。神経科学の第一線で活躍する2人の科学者が書いた、一般向けの脳科学本です。アメリカで2008年に発売されベストセラーになった一冊だそうです。

習慣」と「学習」への理解を深めるという視点から読みました。


目次
第1部 脳の世界とあなたが住む世界
第2部 脳で感じる五感
第3部 脳の一生
第4部 感じる脳
第5部 考える脳
第6部 変性意識状態の脳


「習慣」と「学習」という観点から見た本書のエッセンスをピックアップします。今回は7点です。


1. 効果的な学習方法「散らばり学習」
散らばり(スプレッドアウト)学習」のメリットは大きくて確実。間隔をおいて2度勉強すると、おなじ時間、休みなしに勉強するより、2倍も学習できる。間隔をおいた訓練は、年齢や能力に関係なく、すべての学生に有効で、学習内容や教育方法も問わない
これはよいことを聞きました。このことが知れただけでも、この本を買ったかいはある気がします。すごいのは、誰でも使えるどんな内容でも使える、という点。スキマ時間をもっと有効に使いたいと思います。


2. 学習に関する特性は何によって決まるか
わたしたちが学ぶことは、種の生物学的特徴、個々の遺伝的要因、個人的体験など、多くの要素に影響される。
当たり前のことかもしれませんが、学びやすさは個人的体験だけでなく、1)種の特徴2)遺伝にも影響される、とのこと。ということは、人間という種の特徴や自分のDNAを考慮して適切な学習方法を選ぶことができれば、より少ない労力でより効果的に学習することができそうです。人間の特徴として
人間は並外れて視覚的な動物
というのがあるみたいなので、「図解」シリーズの本を使う、学びを自分で図にまとめてみる、などやれることは色々ありそうです。


3. 良いビジョンを持つことやイメージトレーニングの重要性
自分にあてはまる否定的な固定観念が頭にはあると、人はできが悪くなるんだ。
すぐれた成果を出している人の多くは、訓練のはじめに、自分が達成したいと思う結果を、何度も頭の中でリハーサルするようになる。望む結果をくり返し思い浮かべることは、脳のなかに強い心的イメージを生みだすために、とても効果的なやり方だ。
セルフイメージやセルフエスティーム(自尊心)というものがパフォーマンスに影響することが科学的に実証されている、と。傲慢になってはいけませんが、ほど良い自信を持つことは大切。


4. 一番の脳トレは運動
年をとった脳を健やかに保つのにいちばん効果的な方法(中略)は運動。
中年期に定期的な運動をしている人は、していない人とくらべ、70代にアルツハイマー病にかかるリスクが3分の1になる。
体を鍛える訓練は、コンピューターを使った脳の訓練で示されているどんなメリットより、何倍も大きな効果がある。
・・・神経科学者の結論は「結局運動がいちばん!」と。。ふだんから頭をよく使っていることが前提だとは思いますが、ストレスを減らす、脳の血流をよくする、などなど運動にはいろんな効果があるそうです。運動がおろそかだった時期が悔やまれます。ちゃんと運動しよう。


5. どんなことにも馴れてしまう
大きな出来事は、意外にも、幸せに持続的な影響をおよぼさない。(中略)わたしたちの幸せは、よい出来事や悪い出来事に対して一時的に強く反応したあと、人それぞれの「設定値」に戻る傾向があるらしい。これは「適応」と呼ばれる。
幸福感を高めようとする意図的な試みは、効果が長つづきするものはあるけど、頻繁にくり返すのがいちばん効果的らしい。
経験値的に誰もが知っている「慣れ」についてのお話。単発の非日常ではなく、日常の暮らし(習慣化)の方が大切、ということがわかります。


6. 幸せ度を上げる方法
幸せの研究はまだはじまったばかりだけど、「行動訓練」は幸せを高めることが(中略)証明されている。(中略)よく効くものをいくつか紹介しよう。
肯定的な出来事に焦点をあてる
自分の性格の強みを使いつづける
感謝を忘れない
ここでも「強み」に注目することの大切さが説かれています。また、感謝の気持ちを持つことは自分自身にとっても良いとのことです。


7. 脳には即時性が大事
経済理論の研究からわかってきた一般原則がひとつある。「費用と報酬は目前のことでない場合はあまり重要でなく、遠い将来のことであればなおさら重要でないらしい」ということだ。
人間の脳は長期の計算はできないので即時性が大事――この認識は行動分析学(行動修正法)の基礎になっています。


・・・以上です。一番最初の「散らばり学習」を筆頭に、すぐにも応用できそうな知識がいっぱいあります。

今回は「習慣」「学習」という切り口からピックアップしましたが、それ以外にも豊富な話題が入っており、読み物としても非常に楽しく読める良書だと思います。


こんな方におすすめ
・脳について今人類にわかっていることをわかりやすくたくさん知りたい


おまけ
著者らの公式サイト(英語)はこちら。
Welcome to Your Brain

0 件のコメント: