2011/04/22

金哲彦のマラソン練習法がわかる本 / 金哲彦


金哲彦のマラソン練習法がわかる本」を読みました。

著者の金哲彦さんは、自身箱根駅伝で2度の区間賞を獲得し、小出監督とともに有森裕子さん、高橋尚子さんなどトップアスリートのコーチも行ったことがあるランニングコーチの方。

本書はその著者がアマチュアランナーに贈るマラソン練習本です。どちらかというと(私のような)初心者向けで、複雑なロジックはちょっと置いておいて、大事なポイントだけをとにかくわかりやすく紹介してくれる。そんな一冊です。


目的
マラソン出場を見据えた練習を始める際の事前勉強
・習慣化の一環としての「継続トレーニング」の考え方を学ぶ


内容
トレーニングについての基本的な考え方と、3タイプのマラソンランナーを対象とした具体的なメニューが紹介されています。3タイプのランナーとは次の3者です。
・初心者:6時間以内での完走が目標
・中級者:4時間以内での完走が目標
・上級者:3時間以内での完走が目標


目次
プロローグ トレーニングメニューのつくり方
第1章 フルマラソンを完走する魅力
第2章 トレーニングの基礎知識
第3章 初心者マラソントレーニング
第4章 中級者マラソントレーニング
第5章 上級者マラソントレーニング
第6章 駆け込み30日トレーニング
第7章 マラソンあれこれQ&A
エピローグ すべてのランナーの成功を願って

本書のエッセンスだと思えるポイントをピックアップしてみます。今回は全部で6点です。


1. トレーニングの効果を高める5つの原則
トレーニングを効果的なものにするために覚えておきたい5つのポイントというのがあるそうです。
意識性 トレーニングに集中する
漸進性 トレーニングを持続すること
反復性 繰り返すことによってはじめて身につく
全面性 すべての運動を意識した全体的な訓練を心がける
個別性 人それぞれトレーニングメニューをアレンジする
※これに「過負荷」「特異性」の2つを加えた7つのバージョンもあるそうです

これらはどれも、特定のスポーツを続けたことがある人であれば経験的に知っているようなことですが、ここでは、漠然と知るだけではなく「言語化して意識すること」が大切なのかな思います。

2. レースから逆算して考える「ピーキング」
レース当日にベストコンディションとなるように準備期間を過ごす考え方「ピーキング」。ボクシングでよく行われているイメージがありますが、マラソンでもこの考え方が有効だそうです。「適切な時期に適切な練習をしよう」という考え方。

プロジェクトマネジメントの考え方とも通じるものがあります。


3. マラソンのトレーニングメニュー
著者は、アマチュアランナーが取り入れられるトレーニングメニューとして次の9つを紹介しています。
・ウォーキング
・ジョグ
・LSD(ロングスローディスタンス)
・レースペース走
・持久走
・ウィンドスプリント
・ビルドアップ走
・坂ダッシュ
・クロスカントリー

この本を読んだ読者は、このリストを素材に、著者のモデルケースを参考にして、全面性の原則、個別性の原則を意識したオリジナルメニューを作ることができます

私は、このメニューの幅を知ることで、マラソントレーニングへの理解がぐっと深まりました。


4. トレーニングの全体像に対する理解
コーチが作成したトレーニングメニューを見るときにランナーに期待すること。それは、「なぜこのメニューなのか」を理解することだそうです。各メニューの意味とピーキングを想定した時間的見通しを知ることで、意識性の原則を押さえたトレーニングが可能となります。
トレーニングメニューを、いわゆる単純なマニュアルとしてとらえずに、トレーニングメニューの構造と意味を理解してほしい。「今なぜ、この練習メニューをこなすのか」という練習の目的を、最終目標を常に意識しながら考えるようにしよう。


5. 月間走行距離の前に気にすべきこと
「走った距離は裏切らない」との言葉のもと「走行距離」ばかり気にするランナーが多いそうですが、それよりももっと前の段階で気にすべきことがあります。それは、自分の現状と目標に合った適切なトレーニングメニューを作ること。いわゆるトレーニングの戦略です。
ただ漠然と距離を走る努力をするだけではダメで、頭をフル活用して自分の身体を最高の状態につくり上げる道案内が、トレーニングメニューなのだ
この考え方は私が最近追求している「習慣化」においても同じことが言えます。習慣化が失敗するのは本人の意思に原因がある場合よりもメニューに原因がある場合がほとんどだと思います。

私の周りを見ていても、マラソンをしている人はこの「頭を使って自分をつくりあげる力」を持っている人が多いように思います。


6. トレーニングのちがいがパフォーマンスのちがい
良いトレーニングが良い結果を生む。悪いトレーニングをすれば良い結果は生まれない。このように、レース当日だけでなく、長期的な因果関係を捉えることが必要、とのことです。
日本のある有名なマラソンコーチが以前こんなことを言った。
世界一になるには、世界一のトレーニングをやればいいんだよ
(中略)
世界一のトレーニングを実行する前に、なにが世界一かということを知る情報収集力と想像力が必要なのだ。
これも「習慣化」に通じる考え方です。「世界一のトレーニング」という言葉にインパクトがあります。

私はこの一節を読んで、「最初にその人にとって一番良いメニューを作ってあとはメンタル面のサポートに徹する」というのもコーチとしてのひとつの理想形なのかなと思いました。


こんな方におすすめ
・我流でジョギングしてきたけれど、マラソン完走を見据えてさらにレベルアップしたい人
・理論をきっちりと押さえて、なるべくケガせず効率的にトレーニングしたい人

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