2011/05/17

知的生産の技術 / 梅棹忠夫

梅棹忠夫さんの「知的生産の技術」を読みました。

知識を仕入れ、整理し、考察してアウトプットする――「知的生産」の一連の流れに沿って、基本的な考え方とおすすめのツール、具体的活用法を解説した一冊です

初版発行は40年前の1969年。

PCやガジェットを駆使した今風の方法は載っていませんが、ここに書かれている「知的生産」の基本的な考え方やアプローチというのは現代の視点で見ても全く色あせておらず、ほぼそのまま現代人の生活に取り入れることができる普遍性の高いものとなっています。

日本における「知的活動のバイブル」――そう呼んでもよいくらいの一冊だと思います。

先日の「木を植えた人」と同じく、ゴールデンウィークに実家に帰ったときに発見し、懐かしさで読み直してみました。


目次
知識のインプットからアウトプットにつながる一連の流れに沿って、諸々の考え方とツールが簡潔にわかりやすく紹介されています。
まえがき
はじめに
1 発見の手帳
2 ノートからカードへ
3 カードとその使い方
4 きりぬきと規格化
5 整理と事務
6 読書
7 ペンからタイプライターへ
8 手紙
9 日記と記録
10 原稿
11 文章
おわりに


今の私にぐっと来たポイントをピックアップしてみます。今回は全部で3点です。


1. この本のテーマである「知的生産」とは?
本書で言う「知的生産」とは「他人に情報を提供すること」であす。
知的生産というのは、頭をはたらかせて、なにかあたらしいことがら――情報――を、ひとにわかるかたちで提出することなのだ
これは「知的消費」とは異なります。本を読むときもカードをつくるときも、それが生産のために行うのか消費のために行うのかで、取るべき方法は異なってきます


2. 本書が「知的生産の技術」をテーマにしている理由は?
著者が「知的生産」をテーマに本を書いた理由は、「知的生産」が現代に生きる人々にとって非常に普遍的で重要な技術であるにもかかわらずそれを体系的・総合的に学べる場や機会がなかったためとのことです。

資料をさがす。本をよむ。整理をする。ファイルをつくる。かんがえる。発想を定着させる。それを発展させる。記録をつける。報告をかく。これらの知的作業は、むかしなら、ほんの少数の、学者か文筆業者の仕事だった。いまでは、だれでもが、そういう仕事をしなければならない機会を無数にもっている
今日では、情報の検索、処理、生産、展開についての技術が個人の基礎的素養として、たいせつなものになりつつあるのではないか。
(学校では)知識はおしえるけれど、知識の獲得のしかたは、あまりおしえてくれないのである
ここで言う知的生産の必要性や価値は、近年ますます高まっているように思えます。


3. 整理ってどういうこと?
整理とは、機能的にすぐれていること。つまり、必要なものがすぐにとりだせることである、とのことです。
整理は、機能の秩序の問題であり、整頓は、形式の秩序の問題である。
ものごとがよく整理されているというのは、みた目にはともかく、必要なものが必要なときにすぐとりだせるようになっている、ということだとおもう。
また、整理をうまく行うための原則として3つの原則――1)体系的におき場所を決めること2)とりだしやすいように置くこと3)使ったら必ず戻すこと、が挙げられています。
整理を実現するためには、いくつかの原則があるようにおもう。第一に重要なのは、それぞれのものの「あり場所」が決定されている、ということだとおもう。
(中略)
つぎに、その「おき場所」のきめかたは、体系的でなければならない。
(中略)
「おき場所」のつぎは、「おきかた」の問題だ。
(中略)
とりだしたら、あとはかならず、もとの位置に「もどす」。


・・・以上です。


一言感想
アイデアのつくり方」と同じく、「クリエイティブな活動を継続的に行っている人はそのための仕組みを構築している」ということがよくわかる一冊でした。


まさに「魚は与えてくれないけれど、釣り方を教えてくれる」、そんな本です。

この「知的生産の技術」というのは、個人的に国語や算数と並ぶくらい普遍性の高いOSスキルだと思います。これを身につけておけば、その後の人生のすべての知的活動に良い影響がもたらされるのは間違いありません。


こんな方におすすめ
・書くことや伝えることを仕事にしている人
・暮らしの中のいろんなことをアイデアに変えて表現したい人

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