2013/01/05

2012のベスト本3冊

2013年、新しい年が始まりました。

2012年の1年間は診断士の勉強その他の事情でこのブログの投稿数ががくんと減ってしまいましたが、いまの見通しでは、2013年はもう少し多めに投稿できるかなと思います。

とはいえ。
Reading, after a certain age, diverts the mind too much from its creative pursuits. Any man who reads too much and uses his own brain too little falls into lazy habits of thinking.
ある年齢以上になると、読書というのは人の精神をクリエイティブな探求から遠ざけるものとなる。本をたくさん読みすぎて自分の頭をあまり使っていない人は、ぐうたらな思考習慣に陥ってしまう。
――アインシュタイン
というアインシュタインのことばにも一理あるなぁとこの頃は思うので、あまり「みだり」に読むことのないように、去年以上にしっかり選んで読んでいくようにしたいと思います。

今年も、去年と同じく昨年(2012年)出会った本の中で特によかったものを集めてみました。

マイベストは次の3冊でした!
  1. 自省録 / マルクス・アウレーリウス
  2. フロー体験入門 / ミハイ・チクセントミハイ
  3. NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 / マーシャル・B・ローゼンバーグ

自省録 / マルクス・アウレーリウス


2世紀頃に活躍したローマ帝国の皇帝、マルクス・アウレリウスがつづったメモ集。

皇帝としてよく生き、よく治めるにはどうすればよいのか。「道」を模索し探求し続けた皇帝マルクスが自分と対話し自分をいましめたことばたちが載っています。翻訳の技術によるところもあると思いますが、1900年も前に生きた人のことばとは思えない、イキイキとした感じが文面にあふれていました。

皇帝であってもおごらず、自分に与えらえたものに感謝し、一度きりの人生をめいっぱいに生きようとする。その姿勢に感動し刺激を受けました。

自省録 / マルクス・アウレーリウス

フロー体験入門 / ミハイ・チクセントミハイ


20世紀・21世紀を代表する偉大な心理学者のひとり、ミハイ・チクセントミハイが書いた「フロー体験」の解説本。

伝統的な心理学研究が、どちらかといえば病気や障害といった「負」側のものを多く扱ってきた中で、ミハイ・チクセントミハイは「幸せ」「生きてて最高と思える瞬間」(peak experience)という「正」側のど真ん中にあるものに注目してきました。

その取り組みの中で得た最大の発見が、彼が「フロー」と名づける体験(flow experience)。これは、挑戦しがいのある「ほどよい難しさの課題」に「集中」しているときに人が感じる「没頭した状態」のこと。この「フロー」こそが、生活の中でより多くの喜びを得て、人生をより充実させるためのKSFであることをミハイは指摘しました。

個人的には、いま、本当に心から参ってしまうほどの生活上の「不便」というのはありません。多少の不便はあっても、「そりゃあ、生きてたらこれぐらいのことは最低限しないとね」と思えるようなことがほとんどです。その意味で、現代の日本に生きる私は、おおむね快適な暮らしをさせてもらっています。そんな「特に解消すべき不便という不便がない場合」に、生活の質をさらに向上させるというのは、なかなかカンタンなことではありません。。。私が思いつく手っ取り早い方法は「経済的なぜいたくをすること」――旅行、買い物、食事、ガジェット遊び、ぐらい。。。

その認識止まりだったのが、「フロー体験」や「ポジティブ心理学」と出会い、それらを学ぶことで大きく変わりました。不便を解消する便利なものが次々と生み出され、生活上の不便が日に日に少なくなっていく現代において、この「フロー」というコンセプト・考え方は、「健康」や「愛」に並ぶくらい大切なポイントになると思います。

フロー体験入門 / ミハイ・チクセントミハイ

NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 / マーシャル・B・ローゼンバーグ


「NVC: Non Violent Communication」(非暴力的コミュニケーション)という考え方を紹介した本です。日常の中で人が知らず知らずのうちにやってしまう、人を傷つけ損なうようなコミュニケーション。そういうものに意識を向け、「思いやりのあるよりよいコミュニケーションをしよう」と提案する一冊。

私が大人になってからつくづく思った(笑)のが、この世の中、悪意をもってなされる「意識的な暴力」よりも、悪意なくなされる「無意識の暴力」の方がタチが悪いなぁ、ということ。発する側にとっては暴力でも何でもないものが、受け手にとっては鋭い刃になっていることが世の中にはたくさんあるんだなぁということに気づきました。

でも、特殊な例外を除き、人が人を「あの人を傷つけてやろう!」と強く思うことなんてそうそうありません。

なのに、現代人のいちばんの悩みの種といえば「人間関係」。。。誰も人に嫌がらせをするつもりじゃないのに、傷つけるつもりじゃないのに、多くの人がコミュニケーションの暴力を受けて苦しんでいる。このちぐはぐな現象の裏には、とても大きなディスコミュニケーション、無意識の暴力があるにちがいありません。

・・・と気づいて、いざ行動を変えようと思っても、私は何から始めればいいかわかりませんでした。よいコミュニケーションをしたいと思っても、「具体的に、何をどう変えればいいんだろう?」という疑問の前に立ち止まり、突発的に高まる思いはいつもゆっくりと冷えていってしまいます。

そんな状態で立ち止まったときに次の一歩への足がかりをくれるのがこのNVCの考え方です。

まずは「観察」「感情」「ニーズ」「欲求」という4つの要素からなるフレームワークによって、自分と他者、コミュニケーションを俯瞰すること。そして、それを使って意識的に実践し続けていくという道をNVCは教えてくれます。

実践レベルはまだまだですが、こういう観をなるべく日々持って暮らしていきたいと思っています。

NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 / マーシャル・B・ローゼンバーグ


・・・そのほか、このブログには取り上げる機会がありませんでしたが、次の本なんかも、特に良かったです。
  • 勝ち続ける経営 / 原田泳幸
  • 会社は頭から腐る / 冨山和彦
  • 最新脳科学で読み解く0歳からの子育て / サンドラ アーモット サム ワン
  • ごきげんな人は10年長生きできる / 坪田一男

以下、少しずつ。

勝ち続ける経営 / 原田泳幸
日本マクドナルド社長、原田泳幸さんの本。マクドナルドの前には日本Appleの社長も務めた方で、当時は「マックからマックへ」などと話題になったそうです。

この不景気といわれる時代の中、マクドナルドのような規模の外食の企業が、不振の時期から抜け出て、年々成長し続けるモデルを作り直したというのは驚異的だと思います。

個人的には、原田さんがApple時代に身につけたであろう、選択と集中の実践、デザイン戦略、「学習と成長」や「内部プロセス」を重視するやり方などがおもしろいと思いました。タイトルはちょっとアレですが、ロジカルに、そして実践的に考え抜くApple流・原田流経営のあり方を垣間見ることができます。


会社は頭から腐る / 冨山和彦
産業再生機構のCOOとして活躍した冨山和彦さんの本。

企業というのは結局はただの人の集まりであって、そこには必ず集団としての安定化(安定平衡)のメカニズムが働いているものです。そんな企業に対する「再生」や「再建」なんて、言葉に出して言うのはカンタンですが、それを実際にやるというのは、なんだか、命を削ってやるような仕事なんだろうなぁと、この本を読んで感じました。

会社には人の「思い」があり、家族の「人生」があり、積み上げてきた「歴史」があり、で、なんといいますか、医者が病気の患者さんに共感し涙を流してばかりいても仕事にならないのと同様に、企業を組み換えるような仕事も、ある意味感覚を鈍らせないと仕事にならないのかもなぁ、と思いました。。

リストラの過程で、長年コツコツとがんばってきた「誠実そのもの」といえるような社員さんに損をさせるような決断も必要でしょうし、全体最適のつもりでやったのに一部の人だけが得をする汚い仕事の片棒を担いでいただけ、ということもあるでしょう。

なんだか、大変だなぁ、、と。ともあれ、知力の面、意思エネルギーの面、倫理観の面、いろんな側面から見て「日本にはこんなにがんばっているビジネスマンがいるんだ!」ということに元気とやる気をもらえました。


最新脳科学で読み解く0歳からの子育て / サンドラ・アーモット サム・ワン
「発達心理学」×「脳科学」な一冊。タイトルには「0歳からの」とあり、本の表紙にも赤ちゃんが載っていますが、赤ちゃんだけを対象としたものではなく、赤ちゃんがおなかの中にいるときから成人するまでと、広いレンジのお話が載っています。

人が成長していく過程で、脳や心の面ではどのような変化が起こるのか、成長にとってよいのはどういうことなのか。そういったことがいろんな角度から紹介されています。

大人・子どもを問わず、仕事・プライベートを問わず、人が人を「罰」「ムチ」によって「しつけ」ようとする前近代的な光景は、21世紀になった今でもよく見られます。そういった「罰でしつけ」的なやり方は、この本で紹介されているような発達心理学や脳科学、行動分析学の知識を少し身につけるだけで、倫理面から見て不適切なだけでなく、効果・効率という面から見ても全然ダメなんだということが納得して理解できるので、一人でも多くの親、マネジャー、人の成長に関わる人たちに知っておいてほしいところだと思います。

人の成長や人の脳に備わった癖なんかに興味がある方には、著者らの前著「最新脳科学で読み解く脳のしくみ」もとてもおすすめです。


ごきげんな人は10年長生きできる / 坪田一男
現役の医者の先生・坪田さんが書いた医学+ポジティブ心理学な一冊です。

最近は新書はあまり読まないことにしていますが、サブタイトルに「ポジティブ心理学」とあったので手に取りました。

著者はポジティブ心理学の専門家ではありませんが、医者ならではな視点から、日本の一般人向けにとてもわかりやすいことばでポジティブ心理学を紹介してくれています。

ビジネスでもその他の生活でも、日ごろの健康管理が欠かせません。「健康管理」には2つのパートがあり、ひとつは、「カゼをひかない」という「マイナスを0に」という面、もうひとつは「よりよいパフォーマンスを発揮するコンディション作り」という「プラスをもっとプラスに」という面。

この両方の面を見据えて健康管理に取り組もうというときに、この本は多くのヒントを与えてくれます。軽く読める新書ですが、物質面、精神面の両面を見渡したバランスのよい健康意識を獲得するうえで、とても役に立つ本だと思います。


・・・以上です。


2013年は、電子書籍やウェブ上の読み物にも、ぞくぞくと紙の本以上にいいものが出てきそうですね。今年もよい読み物、よいアイデアと出会えますことを。

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